2月に読んだ本
読んだ本の数:14冊 読んだページ数:4164ページ
バーゲンで冬物用毛糸を購入しちゃって大急ぎで編み上げようとしているところに、結節性紅斑を発症して節々が痛んだりして、あんまり読めなかった。
- 鼠と竜のゲーム―人類補完機構 (ハヤカワ文庫 SF 471)
未来から過去へおっこちて帰れなくなってしまった人が、未来を変えないように気を遣いながら、政治に少し影響を与えてみたり、文化的に幼い古代人向けに未来文学の風味を少しだけ混ぜたおとぎ話を書いたりしてたんだと思うんだ。もし古代に戻れるなら作家になろうと思っていた少年時代に、自分なりに古代っぽさを込めた「コードウェイナー・スミス」というペンネームを考案したと思うんだ。あときっと未来では猫飼えなくて超悔しがってた。とか妄想しながら読みました。
読了日:02月01日 著者:コードウェイナー・スミス - 第81Q戦争―人類補完機構 (ハヤカワ文庫SF)
「ガスタブルの惑星」びっくりした。この種の奇抜さがこの流れで出るとは思ってなくて噴いた。あとメンシェンイェーガーに無理言って困らせたい。それにはまずドイツ語かぁ…
読了日:02月04日 著者:コードウェイナー スミス - 超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)
小林泰三「時空争奪」予想と違うオチ、藤野可織「胡蝶蘭」分け前こわい、岸本佐知子「分数アパート」SF、Boichi「全てはマグロの〜」感動バカSF、小川一水「青い星まで〜」巧いのにときどき噴いて困る。巻末の短編推薦作リストよいな。
読了日:02月06日 - シェイヨルという名の星 (ハヤカワ文庫SF―人類補完機構シリーズ)
シェイヨルのイメージがものすごい。夜うなされそう。
読了日:02月07日 著者:コードウェイナー スミス - ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)
クレーム対応係で底辺でハケン、混血で帰化人、ねらーでヒキコモリでPC自作マニアでエロゲオタで二次萌え…すべての人が作為なく衒いなく自然に普通にそこにいる。伊井直行には、現代風俗をこう盛り込んで社会のなんちゃらをあれすれば…とかいう感じの作者の狙いというものが見え透いてこない感が常にある。研究されるべき。今回わりとエンタメでもあるので、ねらーでヒキコモリみたいな方も気軽に読んでみて、モデル料寄越すニダ!とかちげーよwとか言って楽しむといいと思います。先生の携帯はauだろうか?
読了日:02月08日 著者:伊井 直行 - ポケットの中のレワニワ(下) (100周年書き下ろし)
現実そのままの日常の活写に都市伝説レワニワがじわじわしみこんでると思ってたらいきなりレワニワ世界がぐぐっと浸食してくるんですよ。でも変わらぬ日常も確かにあるんですよ。おかしくない不思議じゃない、これが伊井直行なのだと思います。それにしてもレワニワおっさんくさいのにかわいいよね。
読了日:02月08日 著者:伊井 直行 - 私が捜した少年 (講談社文庫)
精神の在りようがハードボイルドな幼稚園児+故意犯的類型連発+意外とちゃんとしたミステリっぷり。おもしろたのしい。
読了日:02月10日 著者:二階堂 黎人 - ドアの向こう側
デフォルメの効いた人物造形がおもしろたのしい。時事的固有名詞が未知の状態で読んだらどんな感じなのかちょっと興味ある。
読了日:02月11日 著者:二階堂 黎人 - ナチュラルウールでかぎ針編み―M・Lサイズ (生活実用シリーズ NHKおしゃれ工房)
デザイン的には森ガール系かな。チュニックが豊富。L寸の編み方があるものは少ないけど、そもそもフリーサイズのものもある。チュニックとまっしかくの前あきベストを編んでみようと思います。
読了日:02月13日 - 西城秀樹のおかげです (イースト・プレス・チュチュカラーズ)
森奈津子初読。SFの偉い人で特にバカSFの権威だと思い込んでいたので、とにかく作品を読んで認識を改められたのはよかった。表題作の壊滅的に明るい未来すごい。あと「天国発ゴミ箱行き」は女性の自虐ギャグとしてこれ以上のシロモノは喪女板でしか見たことないかもしれん。
読了日:02月14日 著者:森 奈津子 - 人柱はミイラと出会う
石持浅海初読。古来の慣習が進化・デフォルメされて残っている日本、という舞台がまず面白く、アメリカからの留学生の視点で文化のギャップを見せるのがまた巧い。この世界の話をもっと読みたい。“人柱”という職業の頭脳明晰すぎる好青年が探偵役のミステリで恋愛小説でもあるというのもお得要素だけど、まず世界観がイチオシ。でもあの青年が外来種の鷹と知りつつ野に放つように言うわけないと思う。北海道っぽさにはこだわってないのかな。東京や京都のほうが異化日本っぷりが濃そう。
読了日:02月14日 著者:石持 浅海 - 今着たい手編みニット―かぎ針とぼう針で編む チュニック ベスト キャミソール プルオーバー and m (レディブティックシリーズ no. 2719)
ナチュかわ、森ガール系。ウェアから小物までひととおり。
読了日:02月21日 - 魚舟・獣舟 (光文社文庫)
上田早夕里初読。表題作いいなぁ。異生物の存在感が実に圧倒的で、そのうえでしっかり人間も語られて高密度。「くさびらの道」はいいマタンゴ系モダンホラー。短編は全体にこの枚数で語りきるか!という驚きを覚える。そして世界観構築も相当なもの。手練れっぽい。近未来的ガジェットを抜いたらどうなるかなとちょっと思った。それでもSFとして成り立つんじゃないかと思ってるんだけど。次に読むのどれにしよう。
読了日:02月21日 著者:上田 早夕里 - 残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ)
題名は内容にはあんまり関係なく、そういう名前の施設が出てくるだけ。オカルトとSFと冷戦と諜報戦とコンピュータの融合する裏社会で、書類と届け出と勤務評定でガチガチなお役所的組織に属する、賢いのについてなくて皮肉屋で愚痴っぽい非マッチョ主人公が業務なので仕方なく活躍するはなし。ハラドキものの展開のはずなのに、語り手の味わいのおかげで何もかもが微妙にユーモラスに見えてくる。「ナイトウォッチ」が面白かった方は是非。ときどき噴きますから。
読了日:02月24日 著者:チャールズ・ストロス
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1月に読んだ本
読んだ本の数:22冊 読んだページ数:8445ページ
小説を読むときにいちいち映像を思い浮かべる癖が「無限記憶」で表目に、「葉桜の季節に君を想うということ」で裏目に出た月でした。
- チーム・バチスタの栄光
海堂尊初読、ドラマも映画も観ずに読んだ。テンポがよくキャラ立ちまくりのエンターテインメントに医療現場発のリアルさや問題提起がまぶされ、やあこれはシリーズの続きに手が伸びますね!
読了日:01月04日 著者:海堂 尊 - ナイチンゲールの沈黙
ふわふわのごてごて感。美しい綾が織り上がったがったときにそれを敢えて削るのってすごく難しい。私の中では現実とファンタジーの間で折り合いがつかなかった。個性は強烈なのにキャラ立ち感がない、という状態について考え込んだ。よっし流れを把握したのでジェネラルに会いに行くぜ!
読了日:01月05日 著者:海堂 尊 - ジェネラル・ルージュの凱旋
表裏をなすナイチンゲールと続けて読んで、私にとっては院内の権謀術数とか医療現場のあたりが読み応えあると思った。ジェネラルといい姫宮といいキャラづくりがやっぱりうまいなぁ。情に訴えるラストが続くのが気になり始めた。
読了日:01月05日 著者:海堂 尊 - 記憶の食卓
なんか唾がわいてくるんだけど、食欲なのかキモチワルくなったのかわかんない感じがもやもやしていいです。2段のオチが双方予想外でしてやられた。拒食はむしろ清々しいとか真の友なら食い食われることすら厭わぬとかの中2病的マインドを見事に粉砕(というか生理的に嫌になるだろう)してくれそうなので、思春期にこそいかがでしょうか!
読了日:01月07日 著者:牧野 修 - 全世界のデボラ (想像力の文学)
平山瑞穂初読。茫洋としてない井伊直行というか文体以外に村上春樹がいるというか。霧に閉ざされた、しかし見事に緻密で端正な意匠を凝らした迷路をさまよう不安な感覚。たぶんリーダビリティは高いんだと思う、何度でもうかうかと霧の奥に連れ去られるから。SFだと思って読み始めてすぐさま道に迷うのおすすめ。言語好きなので「均衡点」がやっぱり好きだけど、どれも印象的だった。高松和樹の装画が雰囲気にすごくマッチしてると思う。
読了日:01月09日 著者:平山 瑞穂 - 死体を買う男 (講談社文庫)
はからずも歌野晶午初読。叙述トリックで名高いアレを最初に読もうと思ってたのにあんまり面白そうなのでつい。トリック(昔ながらのトリックで時代がかった感じを出しつつもそれだけにとどまらず…)、巧みな構成、文体の切り替え(綺麗な乱歩調!)、乱歩オマージュ、破天荒な朔太郎、意外な結末だと思ったらさらに…、いやはやすごかった。誰が読んでも面白い本格ってこれかしらん。2度読みおすすめ。
読了日:01月11日 著者:歌野 晶午 - フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)
表題作の感想は、ちょwこのテーマをこのお気楽さでやっていいのwwwwwそんで表題作とかかえって深い…、に尽きる。ヒトとは・生きるとは何か、何処までがヒトであり生きることなのか、といったテーマを扱うものが多い。「Slowlife in Starship」の世界のいろんな人の暮らしを読んでみたい。アルワラはある意味浮いてると思う。
読了日:01月11日 著者:小川 一水 - ミサイルマン―平山夢明短編集
「枷」はとても夢明らしい感じがした。「テロルの創世」の清潔感にちょっと胸を突かれた。表題作は猥雑で残酷で人でなしで下劣でグロくて禍々しくてひどい話なのに、突き抜けた明るさがあって一種爽快でもあり、あまりのことに笑ってしまうし、なんとなく純粋さ哀切さも感じるという不思議。そして「独白するユニバーサル横メルカトル」は大傑作であり粒ぞろいなんだなぁ…。
読了日:01月12日 著者:平山 夢明 - ラス・マンチャス通信
それなりに善良な青年が、奇怪なくせに妙に現実的な落としどころを押しつけてくる不条理な世界で、不運とかいろいろに翻弄されて苦労する「どうしてこうなった」物語。変な世界だからどんなに驚くようなことが起きても大丈夫とか思ってると、ばっちり代価を払わされて「ぇぇぇぇぇ」ってなった。うむ、カフカ。あとやっぱり茫洋としてない井伊直行を感じる。
読了日:01月12日 著者:平山 瑞穂 - 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか
この分野でどんな説が現れてきているのかに楽しく触れることができる読み物。とてもキャッチーで読みやすいが、巻末資料に典拠を確認する手がかりもある。エピジェネティクス、メチル化あたり面白そう。
読了日:01月13日 著者:シャロン・モアレム,ジョナサン・プリンス - アキハバラ@DEEP (文春文庫)
ラストダンジョン突破が意外と強硬手段で、ちょっと期待したのと違った…。その手段しか取れない世界と AI が自意識を持ち得る世界は重なるのかな。クルークたちの動向や自意識の目覚めのあたりをもっと見たかったけど、それじゃ全く別物になっちゃうよね。幽閉の身のクルークのやらかしそうなことに妄想が広がるわぁ。
読了日:01月13日 著者:石田 衣良 - ブラックペアン1988
おもしろかった。ブラックペアンの秘密がブラックジャックばりというか「本間血腫」を思い出すテイストだった。そしてこれもまた甘い幕切れ。
読了日:01月16日 著者:海堂 尊 - 犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
タイムトラベルSF というより素人探偵ミステリ、いやむしろ極めて上品なドタバタ恋愛劇として読んだ。タイトルに「犬」がついたらとりあえず読んでみる主義のおかげでいいもの引き当てたなぁ。魅力的というか面白いというか変なキャラクタぞろいだけど、私はやっぱりシリルとプリンセス・アージュマンドを推すぜ!
読了日:01月17日 著者:コニー・ウィリス - 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
正直しっくりこなくてしんどい所もあるなぁとか思ってたら、ラストでちゃんと全部ぶっとばしてくれた。映像化不能、そして小説を視覚的に読む人をたいへんな奈落に突き落とす作品。キツいわぁ。
読了日:01月19日 著者:歌野 晶午 - くらやみの速さはどれくらい (ハヤカワ文庫 SF ム 3-4) (ハヤカワ文庫SF)
まず、21世紀版『アルジャーノンに花束を』ではない。ぜんぜんない。ストーリーの帰結よりもルゥの目を通して見る世界が魅力的だった。現ルゥの幸いがどうか元ルゥの幸いでもありますように。
読了日:01月21日 著者:エリザベス・ムーン - ふわふわの泉 (ファミ通文庫)
堅いのに軽い。まさに新素材ふわふわ。
読了日:01月23日 著者:野尻 抱介 - 配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
本屋の店員さん、裏方じゃなくて主人公ですよ素人探偵ですよ大活躍ですよ! それにしてもこれはいい本屋さんだ。
読了日:01月23日 著者:大崎 梢 - 無限記憶 (創元SF文庫)
タイラーとジェイスンのその後(?)に、それぞれ彼ららしいなと。仮定体と交流できる可能性を持たされた少年に執着する博士の気持ちは少しわかる。なりかわりたい、せめて連れて行け。大きな憧れが歪む悲しさ。後半、仮定体の部品?や構造物の造形を想像するのが超ぞわぞわして楽しい。少しずつ見えてきた仮定体の設定が個人的に好きすぎる。関係ないけど SPIN・AXIS・VORTEX ってリング・らせん・ループみたいですね。
読了日:01月25日 著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン - 湯微島訪問記
わーまた煙に巻かれた! 感興はあるんだけど説明できない。とりあえず、ほとんど湯微島を訪問しません、としか。
読了日:01月26日 著者:伊井 直行 - 高い砦 (ハヤカワ文庫NV)
やっべ私もなんか特殊技能持ちの一般人になっとかないと!
読了日:01月27日 著者:デズモンド バグリィ - ノーストリリア (ハヤカワ文庫 SF ス 4-5)
人類補完機構関連の初読がこれでいいのかという疑問はさておき。ファンタスティックなほど変容した価値観と倫理とルールの支配する世界を少しだけ垣間見た。登場人物がすっごくかわいくてハッピーになる。愛され系SF? 「燃える脳」「鼠と竜のゲーム」を既読でよかったけど「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」も読まなくちゃ。
読了日:01月30日 著者:コードウェイナー・スミス - 失われた探険家 (奇想コレクション)
表題作おもしろかった。無垢な残酷さが少女だからこそ映える。どうも精神異常方面へ流れやすいなと思ったが、解説で経歴を知って了解。
読了日:01月31日 著者:パトリック・マグラア
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おせちでござる
年末に念願のシール蓋付き重箱(5.5寸3段)を入手して、あわててそれぞれの重に詰めるものを調べたり。調べたけど適当に作るので適当に詰めざるを得ない。
- 一の重
- スモークサーモン入り紅白なます
- 盾豆腐
- 胡桃入り田作り
- 栗きんとん(うちでゆでた栗、実家の父の菜園で採れたサツマイモ)
- 二の重
- 口取り菓子(買ってきた)
- 紅白かまぼこ
- 鮭の塩焼き
- 穴子入りだし巻き卵
- 三の重
- 押し寿司
- 雑煮(鶏、大根、人参、丸餅。鳥はむを作ったときの煮汁をかつおだしで割った)
黒豆とたたき牛蒡と数の子がない(食べる人が家族にいない)ので厳密にはおせち料理じゃないだろうなぁ。餅をためしてガッテン式つきたて風にしようとしたが、火にかけたまま忘れていてせんべい状にしてしまったので、また後日やってみる。お煮染めがわりの筑前煮をもっとたくさん入れたいので、来年は品数減らそう。
12月に読んだ本
今月特に面白かった本は、「新化」などの石黒達昌の生物系リアルサイエンスフィクションもの、「時間封鎖」上下巻です。今月も何やかや忙しくてあんまり読めなかったなー。
読んだ本の数:17冊 読んだページ数:4608ページ
- 食べればやせる讃岐うどんダイエット (マキノ出版ムック)
要するに讃岐うどんはコシの強さから腹持ちがいいので、通常のうどんより低GIと考えていいかも?ということかにゃー。讃岐うどん食べて痩せた体験談が豊富。好きだし打つし讃岐のうまい薄口醤油が届いたので食べます。
読了日:12月03日 著者:マイヘルス社,マキノ出版 - 本場さぬきうどんの作り方
技術指導はさぬき麺業とこんぴらうどん。レシピの通りに打ったらいつもよりコシが強く長さの揃った麺になった。
読了日:12月03日 著者:香川県生麺事業協同組合 - ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)
“ユービック”って車とか塗り薬とか栄養ドリンクとかとにかくちょっとチープな商品名っぽいよねとかいう考えはまんまと作者の思うつぼなのだった。あとスタンド攻撃受けてるのかと思った。
読了日:12月04日 著者:フィリップ・K・ディック,浅倉 久志 - 歌の翼に(未来の文学)
読了日:12月06日 著者:トマス・M・ディッシュ - アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風
零、一皮むけ続ける男。雪風との関係に於いてはこれが極限だと思っていたい…まだ先があるとしたら萌え尽きる。最後まで雪風は決して擬人化されることなく、ジャムも全く捉えること不能な“異星体”のままですばらしい。それにしても超重量感で貧弱な我が脳髄への負荷はものすごかった。世界と自己の認識、言語、意識などの問題を扱いつつ思弁と会話が物語を構築してゆくスタイルは、かつて歯が立たなかった他作品と通じるが、雪風の場合は前2作が助走になったのと、雪風や零やクーリィ准将への思い入れでどうにか読み切れた感。まだ頭痺れてる。
読了日:12月07日 著者:神林 長平 - アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
すごく乱暴に分類すれば中島らもグループに入るかもしれないが、そのグループには中島らもと深堀骨しかいない。土橋とし子の装画・口絵そのままな怪作。もしかして:土橋とし子装画グループ。ふざけのめしただけのように見えのの、しかし文学的香気もあるといえばありののの、さらに愛の真実もなきにしもあらずのののの、あっ伝染性もありますピピピピピ。「若松岩松教授〜」「隠密行動」「愛の陥穽」が特に好き。
読了日:12月10日 著者:深堀 骨 - 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
大好物の言語系でもあった! “虐殺の文法”がどんなものなのかチラリとでも触れてほしかったなぁ。「ハーモニー」より糖衣薄く端正な骨格がよく見える印象。イルカ筋製ポッドを湖で放し飼いにしたいというかもう君ら海に還って朽ちるまで泳げ。
読了日:12月11日 著者:伊藤 計劃 - 冬至草 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
石黒達昌初読。明晰きわまりない文章、専門分野の知識と経験を生かした完成度の高い“見てきたような嘘”。フィクションであることを忘れかねないやばい。「希望ホヤ」「冬至草」「デ・ムーア事件」「アブサルディに〜」、いずれもウェット感を抑えた表現がサスペンスフルでしかも胸を突く。放射性の環境で生きる植物の典拠にハイアイアイ群島が出てくるに及んで、図書館の順番待ち予約図書を解約してありったけ借りた。
読了日:12月12日 著者:石黒 達昌 - 94627
形式と文体のマッチングが雰囲気を盛り上げるというかじわじわと背筋を冷やすというか。ほとんどホラーに近い。これもうっかりすると「こんな薬物事件の話を読んだんだけど…」とかいって人に話してしまいそうなほどリアル。
読了日:12月15日 著者:石黒 達昌 - 死して咲く花、実のある夢
キャラクタの楽しさとにぎやかさでなんとか読み切った。これといい迷惑一番といい、表面のライトさにするっと乗って読めない自分がくやしい。いちいち考え込みすぎる。
読了日:12月15日 著者:神林 長平 - 兇天使 (上) ハヤカワ文庫JA
途中まで。装画と挿絵・萩尾望都、は伊達じゃなかった。
読了日:12月17日 著者:野阿 梓 - 平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士、並びに、
表題作は科学論文体裁のリアルサイエンスフィクション。日本の端正な鼻行類。“ハネ”を持ち恋をすると光を放ちいまわのきわに涙を流すというファンタスティックな希少種のネズミが題材でありながら、体裁と描写のかっきりと学際的なことに脳が混乱し刺激される。参考文献と作者あとがきも故意にフィクションとして読んで楽しかった。「新化」の先行論文でもあるのでできれば先に読むといいです。
読了日:12月17日 著者:石黒 達昌 - 新化
表題作は「平成3年5月2日、後天性免疫不全〜」を先行論文として読んでおくとより楽しめるが、後で参考文献として読んでもいいかも。ハネネズミといいカミラ蜂といい、ファンタスティックな生物をあくまでリアルサイエンスの俎上で魅力的なフィクションに仕立てる技の確かさに唸る。小説という畑において、この人は科学研究・医療現場から来た野生のプロでもあって、その強みを存分に生かした作品がすばらしい。
読了日:12月17日 著者:石黒 達昌 - 最終上映
癌の告知と壮絶な治療や医療行為と死を巡る医師の心理などを、硬質な文体と湿り気を廃した描写で淡々と綴る。寝たきりに近い患者とその主治医の物語で、わかりやすいドラマや大きな動きはないのに、心理の綾と細かなエピソードで飽きずに読ませる。微妙な友人でもある患者、微妙な恋人でもある患者をめぐる心理が、また静かにひそかにぐっとくる。文学だ。「ステージ」は非エンタメ系リアルスプラッタでもあり、まざまざと描かれる人体解剖や臨終の様子もさることながら、何故か硬膜下麻酔のくだりが最も冷や汗をかいた。
読了日:12月19日 著者:石黒 達昌 - 海を失った男 (晶文社ミステリ)
既読「ビアンカの手」「シジジイじゃない」やっぱベスト級。「そして私のおそれはつのる」は、ストイックボランティア老嬢→スピリチュアル愛餓えお婆、感受性豊かな娘→愛され超少女、など登場人物の印象が二転三転して妙に惹かれた。「成熟」を読んだ後だからか、腑に落ちきらないところがあっても超人テーマの中にするっと収まった気がする。この選集のテーマは「愛」だったりするのかなーと思ってちょっと調べて、スタージョンが「愛の作家」と呼ばれることを知った。へー。
読了日:12月20日 著者:シオドア・スタージョン - 時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)
壮大な宇宙規模の現象の謎、小さな僕らの心の謎。いま可及的速やかに下巻を読みたいので感想書いてられない!
読了日:12月25日 著者:ロバート・チャールズ ウィルスン - 時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)
壮大な宇宙規模の謎、既知の技術で成り立つリアルな明日、魅力的な人々の豊かな人間ドラマ、卓越したストーリーテリング。SFの棚に置かなくていい、幅広く読まれて欲しい。「仮定体」は自らの在りようから他の知的存在の在り方を類推して理解不能な干渉をしてくるが、人類だっていつか他の知的存在に擬人化した思いこみで余計なお世話を焼きはしないか。で、この本とか雪風とか読んで受容の幅を自分なりに広げておけばいいと思うんだ。続きが楽しみだ。
読了日:12月26日 著者:ロバート・チャールズ ウィルスン
11月に読んだ本
引き続き編み物中および寒くて図書館に行きにくくてペースが落ちています。うん、今月こそ落ちているよね!
今月の瞠目本は「アーサー王ここに眠る」、待ちに待った本は「銀天公社の偽月」文庫版です。ちょっとした待ち時間とかに恐るべきさぬきうどん系を読み返しているせいで、讃岐うどんを食べたくて食べたくて困っています。
読んだ本の数:19冊 読んだページ数:5902ページ
- ZOKU (カッパノベルス)
これはよいおやつ本ですね。特撮やアニメに出てくる所謂悪の組織というのはどーしてあんなにセコい悪事をすることがあるのだろーか、についてそれなりの理由付けをし、それを背景に据えたときにあり得る事態を、実によいキャストを得て楽しいホンに仕立てたという感じ。イラストが山田章博でさらにおいしい。
読了日:11月01日 著者:森 博嗣 - 数学的にありえない〈下〉
おもしろかった! 終盤の美しい伏線回収にはぞくぞくした。満腹の溜息とともに穏やかな心持ちで読了。確率論やら量子力学やらのあれこれは上出来な解説付き入門書レベルで、タイトルに惹かれなかった方にむしろ手に取って欲しい感じ。それにしても映画で観たいなぁ。
読了日:11月01日 著者:アダム ファウアー - ZOKUDAM
これもまたおやつ的。特撮やアニメに出てくる人型巨大ロボットって実際存在意義とか開発過程とか基地とかどーなのよ、について現代社会の枠組みの中でそれなりの仮説を組み立て、それを背景に据えたときにあり得る事態を、前作と別設定ながら同じノリのホンに仕立て同じキャストで上演してる感じ。水柿先生がキャラものエンタメ小説書くとこうなりそうかも。
読了日:11月03日 著者:森博嗣 - ドクター・アダー (ハヤカワ文庫SF)
欠損フェチとかよりも、親子の永遠の対立、テレビに頬を寄せる三重苦の少女が沈黙と闇の中で育てたもの、ただの変態じゃないアダー、などの印象が強かった。古さと新しさを同時に感じる台詞回しの独特さは訳者の腕か。
読了日:11月05日 著者:K.W. ジーター - フラッシュフォワード (ハヤカワ文庫SF)
リーダビリティ、ひとひねりのあるアイデア、壮大なスケールとちっこい人間模様の同居、ご都合主義寸前のところで納得させられてしまうあたり、伏線回収の見事さ、などなどやはりソウヤー作品だなぁ、と。解説にある著作リストを見て、これは読んだ、これは未訳、とわくわくした。
読了日:11月06日 著者:ロバート・J. ソウヤー - 銀天公社の偽月 (新潮文庫)
[購入本]表題作は今までぼんやりと戦後は無害になったかわいそうなものと感じていた“つがね”の印象にざくりと斬りつけてきてびびった。「爪と咆哮」の語り手(たち)の物凄まじい状態に慄然とする。全体的に基調に陰鬱さがある短編集だけに、これが表題作でもいいと思った(「銀天公社の偽月」という題の華と豊かなイメージにはかなわないけど)。大好きな怪しい中国人口調の鳥人譚は楽しい。シーナワールドがまた少し見渡せた感じ。もっともっと書いて欲しいんだよなぁぁ…
読了日:11月08日 著者:椎名 誠 - 残された人びと (ジュニア・ベスト・ノベルズ (16))
読者を甘やかさずしっかり考えさせるあたり、ジュニア向けといって侮れないというかジュニア向けだからこそか。心身両面で超人ではない17歳のコナンが清新。それにしても「未来少年コナン」の設定変更やオリジナルエピソードは、ストーリーに見せ場や人間模様をうまく作り、長丁場の物語の中に緩急とふくらみを作り出しているなぁ。
読了日:11月10日 著者:アレグザンダー・ケイ,内田 庶,小坂 しげる - 孕むことば
こどものことば部門が特に楽しかった。
読了日:11月11日 著者:鴻巣 友季子 - 華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
たぶん子供の頃に読んだと思うけど意味わかったはずないので再読。匿書家の家ごと焚書する火炎の野卑さと、ラストの緊張をはらんだ静謐さの対比が印象的。読書女としては、ビーティを落とし寝返らせたい欲がふつふつと湧くぜ。
読了日:11月12日 著者:レイ ブラッドベリ - キノの旅〈9〉the Beautiful World (電撃文庫)
読了日:11月14日 著者:時雨沢 恵一 - キノの旅〈11〉the Beautiful World (電撃文庫)
読了日:11月14日 著者:時雨沢 恵一 - キノの旅〈12〉
読了日:11月14日 著者:時雨沢 恵一 - キノの旅〈10〉the Beautiful World (電撃文庫)
読了日:11月15日 著者:時雨沢 恵一 - 犬はどこだ (創元推理文庫)
米澤穂信初読。登場時のイメージが限りなく軽薄なハンペーが「役不足」に気づくあたり、あれれ著者の感覚がキャラクターに反映され過ぎちゃった?と思ったらきっちり伏線でよかった。伏線上手さんなのかな? 未だかつて読んだことのないタイプの幕切れが印象的すぎて、作家のイメージが固定されちゃいそうなので、他のも読んでみる。
読了日:11月15日 著者:米澤 穂信 - 現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ケ 5-4)
ダメさがかっこよさに昇華するってこういうことかぁ…。ひどい比喩の連打もすごい表題作、決してわかりやすいかっこよさに流れない「審判の日」、「どうしてこうなった」ってコピーをつけたい「ステッピン・アウト」、プレビン父娘&マーサの探偵ものを読みたくなる「ハーレクイン〜」が特にお気に入り。「草刈り機を持つ男」はスティーブン・キングばりにこわくてやだなぁと思ったら、解説にあるエピソードがもっとこわくてほんとにいやだ><。
読了日:11月17日 著者:ジョー・R・ランズデール - 天山の巫女ソニン(5) 大地の翼
うんうん、少年少女にはこんなラストがいいよな! えらいひとたちの権謀術数、不定見で煽られやすい群衆のこわさなどなど、いつか見なくてはならないものをしっかり見たこどもたちは、これから歩みをより確かにしていくだろう。恋愛感情がからむと難しそうだなと思いつつ、「ソニンの青春」「ソニンの愛情」「ソニンの幸福」的に続きが書かれるのもありじゃないかと思いました。
読了日:11月18日 著者:菅野 雪虫 - 儚い羊たちの祝宴
「山荘秘聞」にはぞっとしてほっとしてまたぞっとしてしまいには噴いてで超ふりまわされた。「玉野五十鈴の誉れ」はカタルシスある良い読後感を予感しただけにホントにラストでうわぁぁぁってなった。高品位読書サークル憧れるわぁ入りたいわぁと思いながら読んでたら、最後の表題作でこれまたうわぁぁぁ。雰囲気に頼らない真性ダークだった。次々出てくる本を読みたくなって困る。
読了日:11月19日 著者:米澤 穂信 - 壁抜け男の謎
多様なジャンルのつまみ食い的。総じておやつ本。異形コレクション参加におどろいた。本格ミステリもあるけど難易度低めにして、トリックを見破る楽しみを提供してくれてるかな。
読了日:11月25日 著者:有栖川 有栖 - アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)
アーサーの物語であり、アーサー王物語の物語でもあり。時代と社会の制約の中でほのかに光るグウィナの抑制の利いた賢さが頼もしい。挿絵もすばらしい。子供に読ませたい本リストに入れる。これを読んだ後では、巻末広告の物語本がどれも面白そうに見えて困る。
読了日:11月28日 著者:フィリップ・リーヴ
Powerd by 読書メーター
10月に読んだ本
冬に備えて編み物を始めたのでペースが落ちています。うん、落ちているよ!
今月の面白すぎて編み物がはかどらなかった本は「ナイトウォッチ」「数学的にありえない」です。
読んだ本の数:22冊 読んだページ数:8094ページ
- チグリスとユーフラテス
終章だれたかなぁ。ともあれ極めてモトちゃん。
読了日:10月01日 著者:新井 素子 - 世界の涯まで犬たちと
君らええ感じに駄目やなあ!
読了日:10月01日 著者:アーサー・ブラッドフォード - 天の筏 (ハヤカワ文庫SF)
わーそこまで環境設定いじってええんか、というぐらいのびっくり宇宙だった。ファンタスティックなほどでありながら我々の知っている物理学による考証も自然な形で読めて安心。少年の冒険・成長譚でもあり王道人間ドラマでもあり。いろんな宇宙クジラがいるけど、ここに登場するものもまた奇妙でロマンティックで魅力的だった。食べられるのかあれ…。
読了日:10月01日 著者:スティーヴン バクスター - ナチュラルスタイルこどもたちのニット―90cm&110cmサイズ すべて編み方つき (レディブティックシリーズ no. 2732)
シンプルなプルオーバーから超凝った縄編みのダッフルコートまで。セーラーカラーのプルオーバー、凝った見かけの割に易しそうなので編んでいるところ。かのこ編みのショートジャケット、フード付きマフラーも編んでみたい。
読了日:10月04日 著者:michiyo - アッチェレランド
サイバーパンクSFとして読み始めたのに、マンフレッドをはじめ魅力的なキャラクターが揃っているし、ジャーゴン満載の超高速展開だし、見せ場濡れ場笑い所のサービスもいいもので、ONE PIECE あるいはジョジョ的に各キャラクターが個性を生かして活躍する漫画のつもりで一気読み。このジャンルで、噴いてから目を剥いて読み直してもっかい噴くとは思わなかった。どんなに遠くまで行ってもついてくる訴訟と金銭問題までもが、しまいにはギャグに思えてきた。雑かなと思うことも少しはあったけれどおもしろかった。著者すごい訳者すごい!
読了日:10月06日 著者:チャールズ・ストロス - 洋梨形の男 (奇想コレクション)
かわいい装画なのになんで蠅がいるんだろうと首をかしげつつ読んで、表題作の途中でカバー外したくなったけどシール済みの図書館本なので外れませんでした。素晴らしく嫌ぁなおはなしが多彩に攻めてきた。「子供たちの肖像」の作家の業と家族の崩壊を描くサスペンス部分、法螺話「終業時間」のオチのスカッとした切れのよさ、「成立しないヴァリエーション」の夫婦愛部分が特にお気に入り。
読了日:10月09日 著者:ジョージ・R・R・マーティン - プランク・ゼロ (ハヤカワ文庫 SF―ジーリー・クロニクル (1427))
とりあえずいろんな環境にいろんな生物がいてわくわくしつつ下巻へ。
読了日:10月09日 著者:スティーヴン・バクスター,古沢 嘉通 - 真空ダイヤグラム―ジーリー・クロニクル〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)
下巻。各章には面白く読めたものもあったけど、時代が下るにつれ私には突き抜けすぎでついていけなくなっちゃった…。また体調と都合にゆとりがあるときに読む。
読了日:10月11日 著者:スティーヴン バクスター - 闘技場―フレドリック・ブラウン・コレクション (ボクラノエスエフ 3)
片仮名を全てゴシックにするのだけでもやめてほしかった。強調なのか書き文字なのか等々、咄嗟に考えたのち否定する都度思考がつまづく。明朝系も漢字と平仮名のフォントの組み合わせがおかしい感じや、強弱や重心・ベースがばらついている感じがあって気になってしょうがない。本をいつもより遠くに置くと多少読みやすかった。ここまで遊ぶなら用紙だけでなくフォントの情報も記載してくれると嬉しい。とかそんなことばっかり書いていたら作品の感想を書く字数がなくなった私は阿呆ではないでしょうか。とりあえず文体とスタイルの相性すごい!
読了日:10月12日 著者:フレドリック・ブラウン - ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
etml がラストでこう来て大満足。若年性自意識過敏の頃に読むと巻き込まれかねないぐらいの詩的ディストピアだった。特別で個性的な人の視点で物語を進み、その果てに誰も特別でなく個性も意識すらもない世界に導かれ、またそれが究極的な完成形態に思えるとかやばい。乙女三つ巴やらアニメネタやらの糖衣で、えらい苦くて効くものを包んである。etml はスイッチした人々に必要なのか、あらかじめ開発されていたのか、WatchMe の入ってない人々が翻訳ツールとして作ったのか…と訊きたいことは多々あれど、さようなら。
読了日:10月13日 著者:伊藤 計劃 - まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス)
なんかぐっとバランス取れた感じ。デビュー作であれやって帯にああ書かれちゃったら2作目のプレッシャーとかどうなんだろうと思いつつ読んで、おお今度はこっちをひっくりかえしたのかと。美樹真樹の性格を把握するにはこっちを先に読むのもいいかもしれない。という訳で後で1作目を読み直そう。出てきた魚種が表紙なのは内容を思い出しやすくていいな。
読了日:10月14日 著者:汀 こるもの - リッターあたりの致死率は―THANATOS (講談社ノベルス ミI-)
うわぁみんなひとでなしだなぁ! いいひとに限ってあたまわるすぎるしすばらしい。現代ネット風俗の盛り込み方の解ってる感ににやついてしまう。
読了日:10月15日 著者:汀 こるもの - フォークの先、希望の後 THANATOS (講談社ノベルス)
いいキャラ満載でうれしい。漫画で読みたい。今市子あたりの絵で淡々と描かれたい。ちゃんとさわやか恋愛だよ笑うけど!
読了日:10月15日 著者:汀 こるもの - 妙なる技の乙女たち
スカッとさわやか安心明朗ストーリーでした。
読了日:10月16日 著者:小川 一水 - ヴィーナス・プラスX (未来の文学)
スタージョン流ジェンダーのぶっとばし方。知的で柔らかくて美しいなぁ。ジェンダー論とも絡む家庭の情景の挿話も、二段構え三段構えの謎の入れ子も、ふわりと幸せを予感させる読後感もよい。よいのだが、レダム人のルックスの描写を読んで、何故かキャプテントーマスが嵌ってしまって味わいを大幅に損なうという大自爆をした。ああああもったいない。
読了日:10月17日 著者:シオドア スタージョン - アジアの岸辺 (未来の文学)
もう絶対エスカレーターで本を読まない。読書のアルバイトもしない。
読了日:10月19日 著者:トマス・M.ディッシュ,若島 正,浅倉 久志 - ナイトウォッチ
世界観は一癖あるダークファンタジーなんだけど、謎多き組織に属する自意識豊かな工作員を視点に据えた権謀術数サスペンスでもあり。よくわからないところがあっても、構成力とキャラクターの魅力で引っ張ってくれる。フリガナたっぷりなのは幅広い読者層狙いなのか児童ウェルカムなのか。エロ要素が少ないのでお子様も安心だし、単純な光と闇=善と悪の対立の構図を超えてるし、背伸びしたい子は気に入るかも。続きも読みたい。
読了日:10月20日 著者:セルゲイ・ルキヤネンコ - トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫)
小学生の時に読んで覚えていた印象=流星群に乗ってきたんだか凶暴化したんだかの新種の植物が動き回って人間を食べるコワイ。30年後に読めば、自業自得でもある突然の破滅を迎えた人類のパニックと、それでも世界を再構築しようとする精神と行動の物語だった。種の保存のために若い女性を集めて…とかのくだりは抄訳ではどうなってたんだろうか。小学生で読んだSFはもっかい読まねばならんとわかった。
読了日:10月23日 著者:ジョン・ウィンダム,井上 勇 - グラックの卵 (未来の文学)
ああこういうジャンルがあるんだっけ。「見よ、かの巨鳥を」は個人的に表題作でもいいと思うぐらいお気に入り。爽快なほどバカだけどがっちりしてる。「マスタースンと社員たち」を安部公房的純文学系として面白く読んだ。おかしみと哀しみが同居し実に居心地悪くて良い。
読了日:10月25日 著者:ハーヴェイ ジェイコブズ - エンベディング (未来の文学)
(私にとっては)肝心の言語部分がどうも不消化なまま後半でもっと解るだろうとがんばって読んで、えええええってなった。ごめんわりとわかんなかった…。解説読まずに返却したのもったいなかったかなぁ。
読了日:10月28日 著者:イアン・ワトスン - デイ・ウォッチ
今回はふりがながないなと思ったら、序盤で随分なセクシー展開というかズバリの濡れ場ありで、こりゃ子供に読ませたくない気持ちにもなるかも。まず自陣のボスの思惑を斟酌せねばならない両陣営中堅には、ロシア的気の毒さを感じた。NetscapeとかIRCとかBattle Angel Alitaとかににやり。
読了日:10月31日 著者:セルゲイ・ルキヤネンコ/ウラジーミル・ワシーリエフ - 数学的にありえない〈上〉
数学とかぜんっぜん興味なくて大丈夫だから! ハリウッド級ジェットコースター科学陰謀アクション人間ドラマだから! 編み物そっちのけで下巻へ。
読了日:10月31日 著者:アダム ファウアー
Powerd by 読書メーター
9月に読んだ本
今月は結膜下出血を患い眼科でドライアイ気味を指摘されて自粛したため少ないです。……うん、ちょっと少ないよね。
今月の自粛しきれなかったおもしろ本は「触手(タッチ)」「宇宙飛行士ピルクス物語」です。
読んだ本の数:30冊 読んだページ数:10123ページ
- わたしを見かけませんでしたか? ハヤカワepi文庫
あるあるあ…ねーよwwww
読了日:09月01日 著者:コーリイ・フォード - アレグリアとは仕事はできない
私はミノベなので笑えない。いらついてぐんにょりしてしんみりした。別の作品を読もう…
読了日:09月01日 著者:津村 記久子 - 電話男 (福武文庫)
読了日:09月02日 著者:小林 恭二 - 冒険の惑星 (1) (創元推理文庫 (647‐1))
読了日:09月04日 著者:ジャック・ヴァンス - まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
ガチガチさととんでもなさのバランスがおもしろい。どこかでだまされてるかもしれないけど、巧くだまされるならいいじゃないですか。細かいネタ配りににやにやした。言語好きには「メデューサの呪文」がたまらない。
読了日:09月04日 著者:山本 弘 - 触手(タッチ)〈上〉 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
医師が奇跡のような力を手に入れたがその背後にはクトゥルフの影が。そして時は満ち恐ろしい代償が襲いかかる…とかいう話じゃないよね、そうだよね? いろいろドラマチックというかドラマ化しやすそうだ。ディッシュの「M.D」を思い出しつつ下巻へ。
読了日:09月04日 著者:猪俣 美江子,F.ポール・ウィルスン - 天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
ちょっとエッジな人の多いドラマチックな集団の、地道で生理的にも心理的にもギリギリなあがきを、手に汗握るというかほとんど胸が詰まる思いで読んだ。ハッピーエンドでよかったよ、常にバッドエンドが脳裏にちらついたもの。幸村誠の絵で克明に。
読了日:09月05日 著者:小川 一水 - 触手(タッチ)〈下〉 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
おもしろかった! ホラーだのSFだのの枠に入れとくのは惜しい。で、やっぱり「M.D」をもういちど読みたくなるっていう…
読了日:09月05日 著者:猪俣 美江子,F.ポール・ウィルスン - 砂漠の惑星
レム初読。ソリッドでストイックでテンポよし、画が浮かばなくてもさくさく読める。すごい。異星の“生命体”が圧倒的に異質だと、やっぱりこうでなくちゃとうれしくなる。“敵“に対し知恵をふりしぼって対抗する無敵号の人々はたくましいが、人間に関係ないことがらには干渉しない心の広さが必要、自然の法則以外に支配されず活動している存在は動物あるいは人間と比べて優らずとも劣らない―と思惟するロハンは真に無敵だ。
読了日:09月06日 著者:スタニスワフ レム - 宇宙飛行士ピルクス物語 (1980年) (海外SFノヴェルズ)
文庫化にあたって(訳者が故人のため)解説の大野典宏氏が加筆・修正したそうなので、途中で切り上げてそちらを読むことに。用語が古い印象はありつつも、そんなの問題じゃないぐらい面白く読破中ではありましたが、大野氏の解説も読みたいし。
読了日:09月07日 著者:深見 弾,スタニスワフ・レム - ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)
予想以上に思弁的だった。断絶していた。ソラリスと人が、だけでなく。理解を絶する圧倒的な存在の前で、人はどうしてこうなってしまうんだろう。ソラリスの海にそうっと触ってみたいと思ったけれど、本当にそこへ連れて行かれたら私はその通りにできるだろうか。
読了日:09月07日 著者:スタニスワフ・レム - エデン (1980年) (海外SFノヴェルズ)
しょっちゅう目が滑ってどこを読んでたかわからなくなるのは、丁寧すぎるぐらい視覚的描写が多いからかな。とてつもなく異質な異星人とのかすかな意志疎通に至るまでの試みは、絶望的にもどかしく危うい。こうでなくちゃだぜ! 直感と本能でパワフルに活動するドクターが、時々無精髭のナウシカに見えた。
読了日:09月08日 著者:スタニスワフ・レム - バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)
普段スペオペはほぼぶん投げてしまう私が面白く読んだ。大好物の言語系だからだけでもなさそう。リドラとブッチャーの愛の始まり(〈あなた〉と〈わたし〉のくだりがすごい)とか、ブッチャー不器用かわいいよブッチャーとか、とにかくブッチャー萌え、とかを楽しんだ。リドラがパプリカっぽいなと思ったのは、才色兼備で惚れっぽく惚れられやすく男性が進んで助けてくれるからかなぁ。バベル-17改訂版とヘプタポッドBをマスターしたら無敵だ。なお脳内挿絵は士郎正宗でお送りしました。
読了日:09月09日 著者:サミュエル R.ディレーニー - 宇宙飛行士ピルクス物語(上)
ミステリ要素のある地味〜なハードSFだが、おはなしのおもしろさだけを追っていてはホントに単に地味なだけで終わってしまいそう。月面をそこで暮らしたかのように微に入り細を穿って描いて見せたり、(架空の世界が舞台なのに)普遍的な問題提起として参考になったり、地味〜なヒーローの心の動きを高潔なところも恥ずかしいところも淡々とあるいはユーモラスに晒したり。地味だけど深くて広い。ピルクスはいいなぁ旅のラゴスぐらいいいなぁ!
読了日:09月10日 著者:スタニスワフ レム - 宇宙飛行士ピルクス物語(下)
「確かに木星は摂動を伴うものだったらなんでも作りたがる」とか突然ぽこっと言われると地味に噴く。解説を読みたくて単行本を途中で投げて文庫版を読んだけど、その甲斐はありました。
読了日:09月10日 著者:スタニスワフ レム - 幻詩狩り (創元SF文庫)
読了日:09月12日 著者:川又 千秋 - 神は沈黙せず
読了日:09月12日 著者:山本 弘 - ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
攻殻を読みマトリックスを全部見たあとでようやっと読んだ。25年前にこれとかぶっとばされる。造語の語感がとにかくすごいので訳者もえらい。
読了日:09月15日 著者:ウィリアム ギブスン,ウィリアム・ギブスン - プリズマティカ (1983年) (海外SFノヴェルズ)
やっぱり「コロナ」いいよ「コロナ」。おとぎ話ともほら話ともつかない「プリズマティカ」、めくるめくばかりのマルチプレックス体験「エンパイア・スター」も実に印象的だった。彼の文章のきらびやかさ、色彩と音楽の存在感はいったいなんなんだろう。
読了日:09月16日 著者:サミュエル・R・ディレイニー - 下りの船 (想像力の文学)
「ぬかるんでから」の感想のほぼコピペになっちゃうけど、理不尽な世界に逃げ場のない緊密な文章で囲い込まれるおそろしさ、だなぁ。(全く関係ないけどこの装画、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」文庫版の表紙にしたい…)
読了日:09月19日 著者:佐藤哲也 - 泰平ヨンの航星日記 (1980年) (ハヤカワ文庫―SF)
宇宙吉四六というか昔話っぽい感触がおもしろい。新訳版読みたいなぁ…
読了日:09月19日 著者:スタニスワフ・レム - 夜中に犬に起こった奇妙な事件 新装版
異なるシステムを持つ他者の目で世界を見た。彼に見えるものが私には見えず、私に見えるものが彼には見えない。ペットのネズミの名前はアルジャーノンじゃないけど、この作品はSFでもあると思う。
読了日:09月20日 著者:マーク・ハッドン - ノパルガース
どうしよう竜を駆る種族より面白かった…。異星の文化は戦乱で壊滅してるし地球が主舞台だけど、リアルに異質な異星人が描かれるのはやっぱり嬉しい。ノパルに憑かれた宿主の人間が、憑かれてない人間とひどく感情的に対立するへんは、筒井「トラブル」も思い出してスリリングだった。現ならぬ闇におぼめく「精神寄生体」といえばコリン・ウィルソン作でクトゥルーで強敵なんだけど、こちらの寄生体のあまりにあっけない駆除方法には噴いた。直観人間強い。イキオイで読めれば面白いんじゃないかしら。装画が内容を表してないのはパルプっぽさ?
読了日:09月26日 著者:ジャック・ヴァンス - 先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!
いいなぁおもしろいなぁたのしいなぁ。前2冊も読んでからにするとより楽しめます。
読了日:09月26日 著者:小林朋道 - にょっ記
12ょっ記 穂村3ム って題字のフォントなんなの! 挿絵と本文の字組もいいなぁぁ
読了日:09月26日 著者:穂村 弘 - 容疑者Xの献身
好んで読む作家じゃないんだけど、さすがに謎の入れ子構造など手堅く巧い。そこにこんな純愛を乗っけるとか狡いほど巧い。
読了日:09月27日 著者:東野 圭吾 - バビロン・ベイビーズ
マリの内部で起こっていること、ベイビーズおよび新人類に説得力を感じなかったけど、それ以外はそれなりに読めた。ってほぼついていけてないじゃん…。事態の周辺のマフィアやギャングやハッカーたちの動きは生き生きとしていて、トオロプをはじめいいキャラクターが揃っている。ヒロインも彼らぐらい魅力的で精神状態の描写や変化の様子が納得できるものだったらなぁ。暴力とドラッグに満ちた世界で、誰も未来と背景を見通せないまま手探り状態でつぶし合っているカオスさは、かえってリアルではあった。
読了日:09月27日 著者:モーリス・G・ダンテック - タウ・ゼロ (創元SF文庫)
うわぁウラシマ効果はここまで突き抜け得る要素だったのか…!
読了日:09月30日 著者:ポール アンダースン - 獣の奏者 I 闘蛇編
アニメの目の焦点が合っていない怖いカットを見てなんとなく手をつけていなかったが読み始め。これは最後まで読もう。輸出したい和製ファンタジー。
読了日:09月30日 著者:上橋 菜穂子 - 獣の奏者 II 王獣編
読了日:09月30日 著者:上橋 菜穂子
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