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はてなダイアリーで書いていた日記のログをインポートしました。ごく稀になんか書く。

アンソロジーの余禄

短編のアンソロジーを読むのは、バラエティに富んだ作品をいっぺんに読みたいというゼータクな思いとともに、新たなお気に入り作家が見つかるかもという期待もある。
ああしかし。「幻想の犬たち」ISBN:4594028152が最も気に入った作品の作者は、これがデビュー作で、以後作品を発表していないようだと編者あとがきに書かれていたのだった。M.サージェント・マッケイ*1「悪魔の恋人」、犬とも狼ともほんの少し違ういきもの“家畜使い”たちの、素朴で豊かな精神生活と異文化の世界に少し足を踏み入れられる、どこか寓話的な物語。動物の行動の描写も実にそれらしく真に迫っている。佳品です。
「不思議な猫たち」ISBN:4594027717アヴラム・デイヴィッドスン*2「パスクァレ公の指輪」のラファティ的奇妙さを大いに楽しんだ。安部公房的な印象を受けたのは、訳文の文体のせいかもしれないが。話の筋を書いても、この作者の作品を説明したことには全くならないと思う。まとめて読みたくて検索してみたのだが、1冊の本にまとまったものはあまりないみたい。短編集「10月3日の目撃者」(ソノラマ文庫海外シリーズ)は、稀覯本の部類に入るようだ。翻訳作品集成 - アヴラム・デイヴィッドスンに邦訳作品のデータがあることをメモ。

*1:M. Sargent Mackay

*2:Avram James Davidson