7月に読んだ本
読んだ本の数:36冊 読んだページ数:13136ページ
- ゲイルズバーグの春を愛す ハヤカワ文庫 FT 26
粒ぞろい! 大人のファンタジーとしてはもちろん、良質の短編集としておすすめ。 読了日:07月01日 著者:ジャック・フィニイ - 発狂した宇宙 (ハヤカワ文庫 SF (222)) 読了日:07月01日 著者:フレドリック・ブラウン
- 海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)
[再読予定] シンプルなストーリーなのに、がりがりにハードな物理SF志向とイメージ豊かな造語で彩られる異世界の設定に目がくらんだ。「時計の中のレンズ」「海を見る人」の世界が特に気に入った。全体の構成も凝っている。 読了日:07月05日 著者:小林 泰三 - スノウ・クラッシュ
これぞサイバーパンクといった雰囲気。宗教とドラッグとウイルスと言語とコードがからみあう。登場人物が魅力的で、画にしたらかっこよさそうな見せ場も多い。アニメで見たくなる。ちなみに私の脳内Y.T.はFFのリュックに似ている。腐女子の皆さんはヒロ×レイヴンにはまだ注目してませんか? 読了日:07月06日 著者:ニール スティーブンスン - 楽園の知恵―あるいはヒステリーの歴史 (ハヤカワ文庫 JA マ 5-5 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
[他作品も読む] 異形コレクションで既読だった「ドギィ・ダディ」にまたしてもやられた。神の子の生誕にまつわる凄まじい物語。異世界の住人が語る「踊るバビロン」は、この形式なら脚注に必然性があり効果的。造語好きにはたまらない。世界観と造語と異世界住民の思考だけでも満腹できるのにおそろしいオチまでついていた。「バロック あるいはシアワセの国」も形式がいい効果を上げていると思った。本当に多芸な作家だと思う。 読了日:07月06日 著者:牧野 修 - 独白するユニバーサル横メルカトル
異形コレクション14で既読の「Ωの聖餐」にまたやられる。印象がものすごく強い。「すまじき熱帯」にちょっぴり筒井感。「独白するユニバーサル横メルカトル」のタイトルは横綱級。メルカトル氏の語り口とその仕業の乖離もコワイ。「オペラントの肖像」にしろ「卵男」にしろ、全体にオチが読めても全く問題なく楽しめるあたり、これはミステリなのかなぁと思う。それにしても痛い描写に対する想像力を極力麻痺させて読まなかったらだいぶやられたと思われる。 読了日:07月07日 著者:平山 夢明 - 狼の一族 アンソロジー/アメリカ篇 [異色作家短篇集] (異色作家短篇集 18 アンソロジー アメリカ編)
未邦訳の作品を紹介するという高い志をもって編まれたことと、R.A.ラファティ、トーマス・M.ディッシュ、アヴラム・デイヴィッドスンのエステルハージィものが収録されていることは本当に喜ばしい。収録作品がそれぞれの作家の特質をよく知ることができるものでも有数の傑作でもないことがある点は踏まえて読みたい。 読了日:07月08日 著者:フリッツ・ライバー,ジャック・リッチー,アヴラム・デイヴィッドスン・他 - 超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会
人が自身を補強し改変する技術が現にどこまで来ているのかを確認するために読んだ。これ、近未来じゃなくて過去のことなんや… 読了日:07月09日 著者:ラメズ・ナム - グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
心に痛い描写も多々あるのになんなんだこの清新さは。稠密かつ明晰な文章もすばらしい。そして次巻を手配。 読了日:07月09日 著者:飛 浩隆 - Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
わからない、だがそれがいい 読了日:07月09日 著者:円城 塔 - ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
相変わらずアイデアも文章も構成も濃くて緻密で美しくて満腹した! 驚愕の展開に口が開きっぱなしになった回数は、前作よりさらに多い。 読了日:07月10日 著者:飛 浩隆 - 象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)
[いつか買う] 面白くて面白くてものすごい勢いで読んでしまった。「デュオ」はミステリでもありサイコホラーでもあるし、「呪界のほとり」は大河シリーズに発展する予感でにやにやするし、「夜と泥の」は五感をびんびん刺激してくるし、「象られた力」は超好みなテーマ。つまりは全部好き。 読了日:07月11日 著者:飛 浩隆 - 太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)
ある、これはあり得る、と唸りながら読んだ。公人・白石亜紀のジェンダーを感じさせない描き方が爽やかだった。交流不能なまでに異質な外星人の登場に待ってました!と思っていたのがはぐらかされなければ、最後の最後まで唸りっぱなしだったと思う。SF というより if ものに近いわくわく感だったかも。 読了日:07月11日 著者:野尻 抱介 - 沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)
良質なエッセイか実録のように読んだ。細部に宿る現実味、安易なドラマに流れないところ、自然体の登場人物たちがそう感じさせるのか。「大風呂敷と蜘蛛の糸」がたいへん面白かった私は、もしかしてラノベ未体験でも「ロケットガール」を読んでみたほうがいいかしら。 読了日:07月12日 著者:野尻 抱介 - 竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)
地球と根本的に異なる物理環境を持つ異星、そこに生きる想像を絶する知的生命体の生活や進歩などが活写され、それはもうなんというか思いがけない方角からとても魅力的な何かが降ってきた感じ。チーラかわいいです。ふつふつと幸せな気分になる結末を迎えてうれしい。巻末資料があることを知らなかったので、まだ残りがあると思いながらページを繰ったらラストだったのだけが罠だった。<追記>チーラに再会するために「スタークエイク」も読むよ! 読了日:07月13日 著者:ロバート L.フォワード - 傀儡后 (ハヤカワJA)
特に前半に感じたコミックっぽさにハヤカワ文庫版の装丁はぴったりかも。部分部分には魅力を感じつつ通読しにくかった。盛りだくさんな設定やパロディも消化しきれなかった感じ。脳裏に浮かんだ桂男のビジュアルがなぜかルルーシュまんまで困った。尋問器が家具人間の一種っぽくて、またあの喋りを読めて楽しかった。あとタロウちゃんかわいいです。 読了日:07月14日 著者:牧野 修 - キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)
含蓄深い。むしろ文化と伝統とユートピアの普遍的な物語として広く読まれて欲しい。ンデミのその後を想像している。 読了日:07月15日 著者:マイク レズニック - 夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)
「スパイス」を途中でもしかして実はいい人の無私の企み?と予想したせいでものすごい落差の奈落に突き落とされた。「ズーク」は少年の片言めいた話しぶりががかわいいが、言語=世界の崩壊に立ち会いつつある彼は恢復できるのだろうか、弟の柔軟な適応が年少ゆえだとしたら、と思うとこわい。「無限のコイン」はこの子無限を発生させるいたずらっ子かしらと思ったらそんなかわいいもんじゃなかった。突然こわくなるのってほんとにこわい。 読了日:07月15日 著者:森岡 浩之 - スタークエイク (ハヤカワ文庫 SF (713))
前作にあまり出てこないなと思っていたチーラの生活(ペット、園芸、服飾、住居、格差など)がいろいろわかって楽しかった。荒唐無稽に見えても(たぶん)裏付けのある空想技術や未確認理論などを一流の科学者兼SF作家による小説として(すんなり理解はできないにしても)面白く読めるって本当に贅沢! 読了日:07月17日 著者:ロバート・L・フォワード - 重力の使命 (ハヤカワ文庫 SF (602))
楽しかったけど「竜の卵」「スタークエイク」より先に読んだ方がもっとよかったと思う。 読了日:07月17日 著者:ハル・クレメント - イリーガル・エイリアン (ハヤカワ文庫SF)
途中まで裁判劇、急展開してミステリ、最後はSF。ちゃんとSF的オチは用意されているので、安心して読むといいと思います。 読了日:07月18日 著者:ロバート・J. ソウヤー - スタープレックス (ハヤカワ文庫SF)
盛り込まれている要素の質・量はもろにガリガリ系ハードSFなのに、軽くわかりやすく面白く読めるってほんとにすごい。渦状銀河の生成とか宇宙の2つの年齢とか未発見のクォークとか暗黒物質とかに、解をずばずばとつきつけていくのが爽快。所謂人間ドラマはさらりと描くにとどめてくれるあたりも良く、だるいところもなく最後まで一気に読めます。作者の抑制のきいたユーモア感覚が全体のトーンを明るく穏やかなものにしていると感じました。あと複合生物のイブ族かわいいです。イルカすごくいいやつです。 読了日:07月19日 著者:ロバート・J. ソウヤー - 砲艦銀鼠号 (集英社文庫 し 11-32)
[購入本] フツーにクールないつもの灰汁と可児のところに、ちょっと騒々しくて見え見えで海の男な鼻裂が加わって、そしてまたあの世界を巡る。大丈夫、今回もどこにも着かない。まだまだ続くのだ。宮田珠己の解説が良い。 読了日:07月20日 著者:椎名 誠 - 第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
今後私は宇宙基地やロケットの出てくるSFを読むと、こんなパイオニアたちの奮闘と人知れぬドラマがあっての宇宙開発であることを脳裏にちらと思い浮かべるだろう。もうすぐ叶いそうな夢を見せてもらった! 読了日:07月20日 著者:小川 一水 - 第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)
土木的なあたりをもっと読みたかった気もするけど面白かった! おとうさんの脳内ビジュアルがなぜかレプカ(未来少年コナン)に固定されて困った。いやいや違うよと振り払ったらムスカになった。 読了日:07月20日 著者:小川 一水 - 道長の冒険―平安妖異伝 (新潮文庫)
[購入本] 神仏が勝手に加護しまくってくれてとんとんと冒険双六をあがっちゃう道長。なんか仏教説話の現代語訳みたいだった…。真比呂が動けないだけでこうなっちゃうのか。前作がとても気に入っていたから期待しすぎちゃったかなぁ。 読了日:07月21日 著者:平岩 弓枝 - 輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫SF)
舞台がSFな海外ミステリっぽい読み心地ではあったけれども、幾人かが予想を裏切る過酷な結末を迎え、この輝ける世界もまた天より墜ちることになるのではと思わせる幕切れとなった。甘いけど甘くない。 読了日:07月23日 著者:ジュニア,ジェイムズ ティプトリー - 虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) (ハヤカワ文庫SF)
台風のような主人公にぶんまわされ、えいやっと投げ出される爽快感。あのネタもこのアイデアも50年前にもう描かれてたんや、と舌を巻くやらニヤニヤするやら。訳文にたまにあるイカした破綻は原文に基づいているのかしら。新装版の表紙がかっこよすぎて旧版の表紙を完全に忘れた。 読了日:07月25日 著者:アルフレッド・ベスター - 棄ててきた女 アンソロジー/イギリス篇 [異色作家短篇集] (異色作家短篇集 19 アンソロジー イギリス篇)
オチがどーのアイデアがどーのという前にまずはどれも雰囲気がいい。これが…イギリス…! 読了日:07月26日 著者:アントニイ・バージェス・他,ジョン・ウインダム,ジェラルド・カーシュ - 雨の檻 (ハヤカワ文庫JA)
さらりと軽くて素直に読める。すごくすごく悩んだ箇所があったんだけど結局誤植なんだろうか…。新装改題の「そばかすのフィギュア」のほうでいつか確認したい。 読了日:07月26日 著者:菅 浩江 - 猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)
本格SFっぷりと所謂ライトノベルっぽさの不思議なバランス。それぞれの人物の重い人生と哲学が読み取れるが、明るいキャラクターやとぼけたおかしみのある描写に助けられる。 読了日:07月26日 著者:秋山 瑞人 - 猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)
ファンシーな鞘の中にものすっげえ硬くて重くて迅くて斬れる刀が納まってた。きっと楽が壊れた映写機を見つけて、クリスが直して、螺旋階段でゲリラ上映して、そのフィルムは宇宙もののSFで…みたいな夢想をしていたんだようわぁぁぁぁん 読了日:07月27日 著者:秋山 瑞人 - ぬかるんでから (文春文庫)
佐藤哲也初読。不条理な世界に逃げ場のない緊密な文章で囲い込まれるおそろしさを味わった。予想以上に文学的だった。「夏の軍隊」がお気に入り。 読了日:07月28日 著者:佐藤 哲也 - 宝石泥棒 (ハルキ文庫)
山田正紀初読。世界観がおもしろかった。所謂息をもつかせぬ展開でぐいぐい読ませてくれる。 読了日:07月29日 著者:山田 正紀 - 逆転世界 (創元SF文庫)
逆転ってそういう逆転か! じりじりと進む都市と同様の歩みで、主人公とともに世界の成り立ちを知ってゆく。ようやくおぼろげに理解できたその驚くべき世界が、最後の最後で(謎も残しつつ)意味を失う衝撃といったら。 読了日:07月31日 著者:クリストファー プリースト - 青猫屋
歌とは何なのか、歌試合の行方は、化け物たちは何者なのか…とかよりも、この奇妙な世界に生きる奇天烈な人々の暮らしぶり、作者の言葉の選び方が面白かった。特に頓痴気ちゃんと、インテリジェントを感じさせるクールビューティー“太った女子中学生”ちゃんが気に入っている。 読了日:07月31日 著者:城戸 光子
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